夜の謝恩会までの間は外来に顔を出し、大学を辞める時にタイミングが合わず挨拶できなかった患者さんと再会しました。その後治療が進み、まだ通院は必要ですが私が診ていた時よりも格段に良い状態になっていたのを見て安心しました。

　夜、学生主催の謝恩会に参加しました。行ってみると他科の先生方も集まっているのでまずは現状の報告会状態に。そしてその輪に学生も加わったり離れたり、自分も違う輪に加わったり離れたりしているうちに楽しい時間があっという間に過ぎてしまいました。

　私は教育の場において「怒る」ことはほとんどしませんでしたが「叱る」ということはしていました。また叱るのと同じくらい褒めることも心掛けていました。良いことは良い、ダメなことはダメ、時間・期限は厳守、など当たり前のことではあるけれど学生から見たら厳しいこともたくさんあったでしょう。それでも常に「良い歯科医師になってほしい」という気持ちで接していたので、「有床義歯の実習は一番厳しかったけど楽しかった」「臨床実習で先生について良かった」と言ってもらえると「大変だったけど教員をやってて良かった」と思えました。

　岩手医科大学は国家試験の合格率が低いと言われます。数字で出るものは数字で分析するしかありません。しかし、学生の気質としては大変素直な学生が多く、どんなに不良ぶっていても本当に悪いやつはそうそういないし、変にエリート面した学生もほとんどいません。学生時代は成績が悪くても歯科医師になってから誰よりも本気で勉強したり、手先の器用さを発揮して腕を磨いたり、意外な人が研究者になったり、商才を発揮したりと色々な人がいます。

　のんびり屋が多い学生たちと、その尻を叩く教員たち両方を支えているのが歯学部教務課の方々です。私も学生から大学院生、教員になってからもずーっとお世話になりました。

「困ったら　報告・相談　教務課に」。という標語があるわけではありませんが、そう思っているのは私だけではないはずです。課長はもちろん、事務の方みんなが学生と教員を温かく支えてくれる素晴らしい課です。

　卒業した安堵と国試結果発表前の期待と緊張とで華やいでいる後輩たちは産毛の鳥がピヨピヨして今にも飛ぼうとしているようにも見えました。一方で自分は何だかくたびれた羽をバサッと閉じてしまっているように感じ、私も今年は色々なセミナーや研修会で勉強してそれを実践していこうと気持ちを新たにしました。

48期の皆さん、おめでとう！