北海道もようやく暖かくなり、木々や草花が咲き始めた今日この頃。コンクリートだらけのここ札幌中心部にも強くたくましい雑草が生え始めてきました。

 　「雑草魂」と言えば巨人の上原浩治選手を思い浮かべる方は私と同世代かそれ以上の方でしょうか。日本のプロ野球選手は、高校時代から活躍してスカウトの目に留まり、ドラフトで指名を受けて高校卒業と同時にプロ入り、なんていう道がエリートなのでしょう（違ったらゴメンナサイ）。そんな中、上原選手は一浪して体育教師を目指して大学に進学し、大学野球で活躍、逆指名で巨人に入ったそうです。野球の実績は超一流でも、飾らず驕らず、怪我に苦しみながらも目の前の仕事をきっちりこなす、そんな寡黙なサラリーマンのような庶民的なお人柄に多くのファンが応援し、いつしか「上原＝雑草魂」と言われるように。のちにご本人が書いた本のタイトルも「雑草魂・上原浩治」。

　個人的には上原選手の頑張りの根底にあるメンタルに興味があるところですが、今日は純粋に雑草の生存戦略について。

　とある読み物に、雑草の生き方研究家が書いた雑草に関する記事がありました。

　『雨風にさらされ、雑踏の中で誰にも見向きもされずとも、めげることなく必死に生きる雑草の姿が「雑草魂」と呼ばれ賞賛されます。しかしそれは人間が勝手に決めつけた理想の雑草像でしかありません。本当の雑草は、踏まれてもあえて立ち上がらず、踏まれながら自分の居場所を見つける戦略家なのです。そんなしたたかな雑草から、のびのびと楽に生きていく術を学びましょう。』というものでした。

　今回紹介されていたのはタンポポ、シロツメクサ、オオバコ。

　タンポポは踏まれなければ上に成長しますが、踏まれやすい場所で踏まれる刺激を受けると地面にべったり張り付くように水平に茎を伸ばして踏まれる衝撃を逃すそうです。言われてみれば、街中でも上方向に向かって伸び伸び成長しているものと、狭い空間に放射状に葉を広げて咲いているものがあります。

　シロツメクサの葉っぱはクローバー、三つ葉が多い中で四つ葉のクローバーは幸せの象徴です。これはシロツメクサの原産地であるヨーロッパでは、美しい四つの葉の形がキリストの十字架を象徴していること、発生確率が1万分の１ともいわれる低い発生率であることに基づくようです。シロツメクサもまた、踏まれることで葉っぱの基になる原基が傷ついて分裂することで本来三つ葉なのが四つ葉になるそうです。踏まれて生まれた幸せの象徴です。

　オオバコはそもそも踏まれるところによく生えている、別名「車前草（しゃぜんそう）」。引っ張っても簡単に千切れることなく、よくしなる茎とは対照的に、葉っぱは手で簡単に千切れるほど柔らかく、しかし千切れないために葉の内側に骨の役割を担うような太く硬い筋を持っています。大きく重い車に轢かれても負けないだけではなく、むしろ踏まれることを利用して粘性の種子を広く蒔いているそうです。

　これら雑草の生存戦略から、ストレスの対処法を学ぶことができます。

　むやみに体に鞭打って頑張るのではなく、自分自身の内面に簡単に千切れることのない強い芯を持ちながら柔らかい発想でストレスを上手く受け流す。そして逆境は耐える事でも克服することでもなく、オオバコのように利用すれば良いのだと。

　日々の生活の中でのストレスや逆境は、自分の解釈次第。自分の人生の目的に向かって、そのストレスや逆境をどう解釈し、どう行動していくのかが大事なのだなと改めて思いました。